医療用ウィッグの特徴

医療用ウィッグとは?

医療用ウィッグは、ファッションを目的とした一般的なウィッグとは異なり、主に脱毛した頭皮をケアすることを目的に作られたものです。

抗がん剤治療を受けている患者さんや脱毛症で悩む方などが対象で、患者さんのQOL(生活の質)をサポートするため、安全性や必要な機能が求められることになります。

また抜け毛が進行すると、頭皮が非常にデリケートな状態になるので、それをケアするためにウィッグが地肌に優しくフィットするようにできています。

サイズ選びは注意が必要

特に抗がん剤治療を受けている場合には、副作用に伴う抜け毛の進行が予測されます。髪の量に応じて頭のサイズも違ってくるので、当然それに応じてウィッグのサイズも変わってきます。そのため、脱毛期や回復期などの治療段階に合わせてウィッグのサイズも変えていく必要があるのです。

ウィッグのサイズ選びを誤ると、かえって不自然に見えてしまい、そのことが患者さんの不安にも繋がるので注意が必要です。

デリケートな地肌に優しい仕様

脱毛によりデリケートになった頭皮を保護するため、地肌に優しいコットン(綿)素材が使われています。肌触りが良く、装着したときの違和感を軽減してくれます。

また、暑い夏には涼しく、寒い冬には暖かいという特徴があり、通気性にも優れているため頭が蒸れにくいです。

JIS規格に適合したウィッグなら安心・安全

脱毛症の方などが安心して医療用ウィッグを使用できるようにと、JIS規格が平成27年4月に制定されました。
この制定により医療用ウィッグの性能基準が明確となり、これまで以上に安心してウィッグを選ぶことができるようになりました。

一般的なウィッグの特徴

一般的なウィッグは、主にファッションを目的としており、特に女性が髪型に変化をつけたいときに使用します。いろいろな種類やカラーから選べると人気です。
人工毛で作られたものが多く、機械で大量生産されているので、比較的安い価格で購入できます。

一般的なウィッグのメリット

  • 種類が多く価格も安い
  • その日の服装に合わせて手軽に髪型や色を変えられる
  • 簡単にイメージチェンジができる

一般的なウィッグのデメリット

  • 人工毛が多く使用されているため、不自然に見られやすい
  • 土台となるネット部分の網目が荒いと頭部が蒸れやすい
  • ある程度使用すると毛が絡みやすくなり劣化しやすい

医療用ウィッグと一般的なウィッグの違いとは?

ウィッグの用途

使用する目的が異なる

医療用ウィッグは脱毛した頭皮をケアするのが目的ですが、一般的なウィッグは髪型やカラーを変えてファッションを楽しむのが主な目的です。

サイズ選びが異なる

一般的なウィッグの多くは、フリーサイズでアジャスターが付いており、サイズを自在に調整できるようになっています。そのため、サイズ選びに困ることはほとんどありません。
フリーサイズではないものは、頭の周囲のサイズに合わせて選びます。サイズは概ねSS・S・M・Lが揃っています。

医療用ウィッグにもフリーサイズのものはありますが、一般的には自分の頭のサイズに合わせてSS・S・M・Lサイズの中から選ぶことが多いです。
脱毛の進行状況や治療段階によって髪の量が異なってくるので、それに伴いウィッグのサイズも変わります。

サイズの合わないウィッグは、患者さんの気持ちを不安にさせる原因にもなるので、サイズ選びには注意を払う必要があります。

機能性や安全性が異なる

一般的なウィッグは、種類やカラーバリエーションは豊富ですが、通気性や快適性といった機能面で医療用ウィッグより劣ります。

医療用ウィッグは、頭皮が触れる部分にコットン素材を使用しており、通気性や快適性に優れています。また、衛生上の対策も施してあるため、安全面にも配慮していると言えるでしょう。

価格が異なる

一般的なウィッグは、既製品で機械による大量生産を行っているため、手頃な価格のものが多いです。中には数千円台のウィッグも出回っています。

それに対して、医療用ウィッグは手作業で1本1本植毛しているため、コストは割高になります。また、頭皮に優しい素材を使用していることもあり、高いものだと数十万円するウィッグもあります。

このように、医療用ウィッグと一般的なウィッグとでは、その目的や用途に大きな違いがあります。
とはいえ、ウィッグをつけることで気持ちが明るくなるなど、共通点もたくさんあります。

状況に合わせて上手に使い分けるようにしましょう。